二つの顔をもつ世界屈指の美しい駅舎「アムステルダム中央駅」(ピエール・カイペルス設計 1889年開業)

(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2018.11.3>主な解説より引用)

 壮麗な駅舎である。

 とともに、現代的なデザインもアイ湾側に取り入れ、歴史ある駅舎と斬新かつAIなどの最新技術を導入したホールとの、みごとな融合を図った駅舎施設となっている。

 駅舎の中央には、オランダ王室の紋章が掲げられており、左右の塔には、大時計と風向計が配置されている。この駅舎は、ともとも運河であった港の一部を埋め立て、8700本の木のの杭を打ち込んで造られた「水に浮かぶ駅」としての特徴も兼ね備えている。

 当時の美術と工芸の粋が集められ、総合芸術を志向し、一方で合理的な設計者でもあったカイペルスのもとで、駅舎の至るところに彼のデザインが採用された。

 かつては、船による商業貿易の拠点港であった場所は、駅舎を立てることにより、フェリー・汽車・バス・トラムなど、あらゆる交通機関の要衝となっていった。

 駅構内の一角には、旅行者のだれもが、気軽に立ち寄り演奏もできる、一台のグランドピアノが配置されてある。なんと粋なはからいであることか。だれもがここから旅立ち、漂着するプラットホーム・・・

 旅人の一人一人が演者であるかのように、「人生の劇場」がここにはある。

(番組を視聴しての私の感想)

 総合芸術(composite arts)とは、「音楽、絵画、建築、舞踊などの複数の分野の芸術の混交によって創造される一つの統一的な芸術。たとえば、演劇、オペラなど」とある。(ブリタニカ国際大百科事典より引用)

 もっとも印象に残ったのは、歴史的遺産ともなっている美しい駅舎を大切に使いながらも、2018年7月地下鉄新路線開通を契機に、駅舎のアイ湾側に面するホール建物には、現代的なデザインと、AIの最新技術を取り入れたこと。

 そのことにより、いわば古典アートと現代アートの両者の二つの顔を、みごとに融合させ、演出させている点である。この着想は、オランダだけにクールである。

 一般的には、古いモノは取り壊し、新しいモノに入れ替える。あるいは、古いモノは残すものの、新しいモノへと機能全体を移し替える、といった発想になりがちである。

 人生の主役は、駅舎を行き交う旅人の一人ひとりであること。そこには、古典アートと現代アートがいい意味で混在しながら、旅人たちの人生の劇を演出する舞台としての「駅舎」が、いつもそばにある・・・

 そんな素敵な空間を、提供してくれている、オランダの「アムステルダム中央駅」。

ヨーロッパの主要都市である、パリ、ロンドン、ドイツなどを結んでいる要となる拠点空間であるならば、そこを訪ねない理由はない。

 オランダといえば、アムステルダム国立美術館には、世界的名作のひとつとされているレンブラントの「夜警」、フェルメールの代表作「牛乳を注ぐ女」(現在2018.12本作品は、上野の森美術館でのフェルメール展<2019.2まで開催中>で来日している)が所蔵されている。

 Trance系をかけるオランダ出身のDJ Armin van Buurenは、私の好きなDJの一人である。つまりは、私の中では、絵画・建築・音楽の「美・Beauty」が、偶然にもみごとにオランダで、結合し・融合したのである。

 めざすは、新しい未来世代へ向けての総合芸術なのか・・また、ワクワクしている。

「おめでたい自分」がここにいる ・・・(笑)

写真: 「左上: 直径45メートル・全長707メートルの巨大円形プラットホーム」「右上: 高さ41メートル・幅306メートルのアムステルダム中央駅舎」「左下: アイ湾側に整備された現代アートと技術の粋を集めた巨大ホール」「右下: 夜景に映える美しい駅舎」

「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2018.11.3>より転載。同視聴者センターより許諾済。 

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

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