二重らせん構造と奇想の建築「会津・円通三匝堂」(郁堂 禅師 作 1796年)
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2016.2.27>解説より引用)
寛永8年(1796年)江戸時代に建立された建物で、福島県・会津にある「円通三匝堂」(えんつうさんそうどう)。内外装ともに、そのすべてが、斜めに傾いて建てられている。
堂内は回廊となっており、順路に沿って三十三観音や百観音などが配置され、堂内を進むだけで「巡礼が叶う」ような構造となっている。
仏教の礼法に基づいて、右回りに三回匝る(めぐる)ことで三匝堂(さんそうどう)という。また、螺旋構造や外観がサザエに似ていることから、通称「会津さざえ堂」と呼ばれる。
日本の建築史上にあっても、同様の建物はほぼ皆無という類まれなる建物。この手の建築物を探すに、番組でも以前取りげられていた、フランス・シャンボール城中にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ設計の二重螺旋階段があるが、こちらは石造。「さざえ堂」は木造でありやはり稀有な建築物となる。
(番組を視聴しての私の感想コメント)
二重らせんと聞いて、思い浮かぶのが、分子生物学の世界で発見された、人間の遺伝子DNA構造。二重らせん構造の発見だが、この発見は後世になってからのもので、奇遇というか偶然というか、ダ・ヴィンチの脅威の創造力には、感嘆せざるをえない・・・
「常識を疑え」と言うのは簡単である。しかし、江戸時代にすでにこうした建物を、現実のものとして具現化してみせた、作者のその先見性に、ただ脱帽し驚くのみである。
写真: 「会津・円通三匝堂」「美の巨人たち」(テレビ東京放映番組<2016.2.27>)より転載。同視聴者センターより許諾済。
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