輝く色彩にこだわった「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(ジョルジュ・スーラ 作 1884-86年)

(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2013.7.28>主な解説より引用)

 新印象派。1800年代半ばから後半にかけてパリで活躍した画家ジョルジュ・スーラ(1859-1891)。

    世紀末のフランスのセーヌ川のほとりが舞台になったこの絵。「点描」という手法により、芸術に科学を取り入れようとした。挑戦的というか、実験的というか。

 しかし、スーラはこの絵を真剣に、2年の歳月を費やして描いたという。

 「原色」と「白」以外は、混ぜ合わせた形跡がないパレット。たしかに、色と色を混ぜ合わせると、例外なく暗い色に近づくことは、誰でも経験したこと。

 色の補色関係を計算しつつ、この絵には「赤」の配置により、全体が明るい風景で統一されている。

 スーラは合理的かつ科学的な思考と同時に、詩的な感覚も持ち合わせており、詩情といったものを画面に漂わせることを、つねに計算した。

 こうして描かれたのが、「グランド・ジャット島の夏の日の日曜日の午後」である。

 奇妙なことは、絵の中の人物同士、だれも会話していない・・・顔は無表情で、時間が止まっているかのように見える・・・たしかに、「静寂」な絵である・・・。

 さらには、「光」にこだわった絵。これまでに、どこにもない絵の「表情」を、独特のタッチで描き出した。それでも、当時の印象派画家たちからは、当初は酷評された。

ルノワールいわく「理論で自然に立ち向かおうとすれば、自然は理論を地にたたきつけるだろう」と・・・。

(番組を視聴しての私の感想コメント)

 31歳という若さで死んだしまったスーラ。

 印象派の画家たちが、移ろいゆく陽光の中の一瞬を切り取ろうとしたのとは逆に、スーラは、「色彩」というものを科学の目で見つめようとした。

 その色彩を再現するために、一定の大きさの色彩を並べることが、より合理的なやり方であると考えた。これが点描主義の誕生となった。

 描かれた作品は数少ないだけに、「永遠の詩情」表現として、後世に語り継がれてきたのもうなづける。

 ただ、こうしたタッチの作品は、鑑賞する人によって、絵画としての好き嫌いが、はっきりと分かれるようにも思われる。

写真: 「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2013.7.28>より転載。同視聴者センターより許諾済。

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

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