スペインの歴史をそのまま体現している 3 駅舎
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2016.2.13>主な解説コメントより引用)
プラド美術館より程近いところに、堂々と立つ首都マドリッドの玄関口駅でもある「アトーチャ駅」(1892年 アルベルト・デ・パラシオ作)
新駅舎が建った今は、熱帯植物園の入る待合室となっている。AVE (Alta Velocidad Espanola) スペイン新幹線の発着駅でもある。
つぎに紹介されたのは、古都トレドにある「トレド駅」(1919年 ナルシソ・クラベリア・パラシオス作)。
「もし、スペインに1日しか滞在できないなら、迷わずにトレドに行くといい」といわれるように、古都の風格とともに、イスラムとキリストという二つの文化の共存と融合を反映した駅舎の造形は、そのものが見事な芸術品そのものと言っていい。
都市トレドの歴史は、711年イスラム軍に占拠されたのち、1085年キリスト教徒により奪還。そんな中にあっても、両文化の共存と融合が許されたクロスカルチュラルな都市の影響が、「ネオムデハル様式」として、駅舎にも色濃く残されている。
最後に紹介されたのは、「ピレネーの貴婦人」とも称えられた「カンフラン駅」(1928年 フェルナンド・ラミレス・ダンピエール作)
フランスとスペインの国境を跨ぐピレネー山脈の麓にある旧駅舎。モダニズムやアール・デコ様式を反映した壮麗なる駅舎である。
一方で、1970年の脱線事故以来、駅舎は使用中止となり、「世界で一番美しい廃墟」とも揶揄される時が続いた。その後幸いにも、2012年アラゴン州が駅舎の買取と修復に着手し、復元に向けて現在(2016年2月)も改修が続いている。
(番組を視聴しての私の感想コメント)
それぞれの駅舎は、スペインの歴史をそれぞれ体現し、その都市の文化的シンボルの存在となっている。
駅を介して、そこに住む人間と旅する人間の様々な生き様や、暮らしのドラマの舞台となってきた。その物語を語り継いでいるのが、「駅舎」なのだと実感した。
「たかが駅舎」というのはたやすい。「されど駅舎」であるという、感じる人間の感性と歴史が刻んできたその時々の心象風景に、思いを馳せることも大切であることを学んだ・・
「物語」というのは、ある意味では「生き様の軌跡」であるとともに、「歴史の歩みの体現」でもあるのだろう・・・
写真:「美の巨人たち」テレビ東京放映番組(2016.2.13)より引用
上: 「アトーチャ駅」左下: 「トレド駅」右下:「カンフラン駅」
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