瞬間瞬間に生があり美がある・・「流水間断無」(りゅうすいかんだんなし 平山郁夫 作 1994年)
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2014.6.20 >解説より引用)
静と動のみごとな混在とコントラスト。画家の平山郁夫(1930-2009)氏は、広島出身の被ばく体験者。
「われわれ日本人はどこから来たのか・・」という問いを抱きつつ、文明発生の原初的プロセスがすべてあるといわれるシルクロードに、昭和43(1968)年以来160回にわたり旅した。
63歳となり、最後にたどり着いたオアシス。そこが青森県にある奥入瀬渓谷であり、本作品風景の舞台である。
人生は儚(はかな)い。がその儚(はかな)さの中にも、瞬間瞬間の生があり、美がある・・・
一瞬も途切れることなく、川に流れつづける水。白い水はすなわち生きる色の象徴である。
平山氏いわく「私の目指す日本画は、古代の美に通じるものであり、朝鮮、中国を通じて達し西方の文明とも深く結びついている」と語っている。
(番組を視聴しての私の感想綴り)
「無常」という言葉とともに、高校生の時に覚えた「方丈記」(鴨長明)冒頭の一節を思い出した。
「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつむすびて、久しくとどまりたるためしなし・・」
印象的なのは、景色と緑と水の鮮明なコントラスト。そして水の勢いがおりなす生命の尊さとその躍動感。
「われわれはどこから来て、どこへ向かうのか・・・」瞬間瞬間を精一杯生きるということは、個々の人生そのものが、つねにこの問いへの答え探しの旅に似ているとも感じた・・・
写真: 「流水間断無」(平山郁夫 作 1994年) 「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2014.6.20 >より転載。同視聴者センターより許諾済。
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