外からの採光と浮遊感覚がオブジェとなる教会・・「フィルミニ教会堂」(ル・コルビュジェ作 2006年)

(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2014.10.18>主な解説より引用)

 20世紀最高の建築家 ル・コルビュジェ(Le Corbusier)の作品である、「フィルミニ教会」は、74歳の晩年に設計するも、完成を見ないまま海の事故で本人は逝去。

 建物の外形の奇妙なフォルムとともに、中に入って圧倒されるのは、外からの採光によって表される光の演出。

 採光がオブジェともなり、天へ導くかのような浮遊感覚。一日の時間の経過とともに、変化する光の移ろい・・・それとは真逆に、壁を飾る装飾などは一切なく、神聖さを浮きだたせている。

 追求したのは、「静寂と平和」。

 つまりは、「今日の人間たちにとって、ある意味、最も重要なもののために働いた」と、コルビュジェ自身が言い残しているように、様々な人たちが集える街の中心地にこそ、この建物を造りたかったというこだわりにも、その意図が表れているようである。

(番組を視聴しての私の感想綴り)

 日本では、上野にある「国立西洋美術館」の建物が、彼の手掛けた作品のひとつ。

シンプルな中に、究極の真実というか、真理を求める精神性を追求したのは、共通のコンセプトであるようだ。

 「静寂と平和」をテーマに、内省的に自己と向かい合うとき、それは外部環境からの様々な刺激と決して無関係ではないことを、改めて学べる場ともなるのか。

 「自身の悟りを得る」だけでは、仏教でいう「声聞・縁覚」世界に留まる「静寂・消極的平和」か。外へ向けて自他ともに働きかける「共生・積極的平和」につなげてこそ、真の平和に近づけるものなのか。そもそも、ここは「祈りを捧げる場」教会ではある。

 そんなこんなと、いろいろと想いが巡った・・・

写真: 上 「フェルミニ教会堂」個性的で独創的な外観

    下    「同」内部 外からの採光により、刻々と変化する内壁面・表情の演出

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

0コメント

  • 1000 / 1000