日本のミケランジェロ? 「国宝 善財童子立像」(快慶 作 鎌倉時代 1203-20年 奈良県・安倍文殊院 蔵)
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2014.11.29>解説より引用)
合掌する愛らしい子どもの像。
何に振り向き、何を願い、手を合わせているのか?
これは実は、文殊菩薩たちをふりかえる姿。
飛鳥時代に日本へ伝わった仮面劇の伎楽(ぎがく)や、行道(ぎょうどう)という仏教のパレードでは、獣の王者である獅子と、鼻が高い異国人の治道(ちどう)、そして師子児(ししこ)と呼ばれる子どもが、最初に登場して道を清めたという。
童子は、魔よけとして先導する役割を期待された。汚れを知らない無垢な子ども、だからこその大役といえるのか。
善財童子の顔の表情は、素直な心、無の心を現しているという。
(番組を視聴しての私の感想綴り)
「仏師は作家ではない。拝む人のことを考えて滅私していく・・・」という、文殊院の僧の言葉が印象的であった。
ミラランジェロが、ダヴィデ像を制作する300年も前の作品。作者は快慶。奈良・東大寺の南大門にある、運慶・快慶の対峙した仁王像が有名である。
運慶の作品が立体的・彫刻的であるのに対し、快慶の作品は平面的・絵画的 ややフェミニンな中に、リアリティと本物を追い求めていく快慶。
「祈りの心」「信じる力」を体現しつつ、800年の年月を超えて、なおじっと立ち続けている・・・
写真: 「善財童子立像」(快慶 作 鎌倉時代 1203-20年)
「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2014.11.29>より転載。同視聴者センターより許諾済。
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