失明の危機 ドガの無限の挑戦の先にある作品・・「青い踊り子たち」(エドガー・ドガ 作 1890年頃)
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2015.5.2>解説より引用)
「視力は失われようと、聴力が残っている。音から動きをみることができよう」(ドガの言葉)
すべての境界が曖昧で、ぼんやりしている・・・第一印象は、どこかすっきりしない絵とも観てしまう。
しかし、この絵こそ、その後の20世紀絵画の先駆けとして、新たな表現の可能性の突破口を開いた、画期的な作品になったと知り驚いた。
ドガが描いたこの作品は、ドガ本人が当時失明の危機に瀕していた中で、緊張と不安を抱えつつも、オペラ座で舞う踊り子たちの記憶をなぞるように描いた。
(番組を視聴しての私の感想綴り)
点描を指で描くなど、アバンギャルドな驚きの手法で挑戦した作品。画家の執念ともいえる作品と知り、改めて襟を正した次第である。
最も興味を引いたのは、作品の中央に出てくる4人の踊り子。
この踊り子たちが、実はすべて一人の踊り子を、まるでストップモーションのように、角度と時間の経過を追いつつ、一枚のキャンバスに投影させたものだという。
他の作品にあっても、数多くの踊り子たちの、あらゆる表情や仕草を観察しつつ、あらゆる角度から精緻に、それでいて愛情を注ぎつつ描いたのと同様に。
アートの世界に限らず、スポーツの世界でも、仕事の世界でも、障害をものともせずに、克服するどころか、高い水準の作品やパフォーマンス、仕事の成果をあげている。ハンデキャップの克服に、敢然と立ち向かい、挑戦している人々が、過去にも現在にもいる・・・
どんな状況に身をおいても、克服する勇気と挑戦する姿勢、生き方について、ドガの作品を通じて学ばせていただいた。
視聴の最初と最後で、意外な展開となった、印象に残る作品「青い踊り子たち」である。
写真: 「青い踊り子たち」(エドガー・ドガ 作 1890年頃)「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2015.5.2>より転載。同視聴者センターより許諾済。
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