永遠に枯れることのないユリとサラ・ベルナール「舞台用冠 ユリ」(ミュシャ・ラリック 1895年)

(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2015.8.8>解説より引用)

 この舞台用冠は、サラ・ベルナールが、ミュシャにデザインを、ラリックに制作を依頼した。

 ユリの花、ぜんぶに真珠をあしらった。詩的で、まるで生きているような、ため息の出るほど美しいジュエリー作品である。

 サラ・ベルナール(Sarah Bernard)は、19世紀末〜20世紀初頭にかけて、ヨーロッパで最も活躍した舞台女優の一人。当時無名の挿絵画家だったアルフォンス・ミュシャに、たまたまポスター製作を依頼。ミュシャがこのとき作ったポスター「ジスモンダ」は、パリ中で脚光を浴びた。

 そして、ミュシャ自身は、これをきっかけにアール・ヌーヴォーの象徴として活躍することとなる。

アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した美術ムーブメント。

(番組を視聴しての私の感想綴り)

 「 新しい芸術」の意味。サラの存在なくして、その後のミュシャやラリックの活躍はなかったに違いない。

「新しいムーブメント」といえば、5年後(記載当時2015.8)の2020年 東京オリンピック・パラリンピックの開催である。

 最近では、新国立競技場や、ポスターデザインを巡り騒がれているが、世界も注目しているだけに、早く「賢明な形」で終息に向かってほしい。

 今から50年前の東京でも、建築やデザインを通じて、日本の和的カルチャーや表現の先端性を世界にアピールしてきた。

 同じようにはいかないものの、今度は、少子高齢化にあってもそれらを克服しつつ、レガシー(遺産)として、オリンピック終了後も永く未来世代に引

き継き再活用され、環境的・省資源的にも、芸術・音楽・スポーツ・カルチャー的にも、グローバルな平和貢献・発信の意味合いも込めて、ネオジャパネスクの要素を加味した、創造と発信の機会としたらいいと想う。

 日本の価値、世界に貢献するミッション、世界の中の日本のアイデンティティ・存在意義を、ここでもう一度チャレンジする時はいつか・・。

 世界のスポーツイベントを、たまたま、また東京で、日本で、単に開催するだけのものに留めてはならないと思う。

 それはまた、ある意味で、「単にお金をかけることで世界を迎えることの豊かさ」から「日本の真のおもてなしでもって迎えることの本物の豊かさ」でなければならないと、私は想う・・

写真: 「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2015.8.8>より転載。同視聴者センターより許諾済。

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

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