宮殿のように壮麗な美しい駅舎「ダニーデン駅」(ジョージ・トループ設計 1906年)

 2000年4月にスタートしたテレビ東京のアート番組「美の巨人たち」。まもなく900回を迎えると、冒頭の小林薫さんのナレーションで紹介があった。

 私が、Facebookのマイノートに視聴後感想綴りを書き始めたのは、今から約6年半前の、2011年12月頃です。

 番組の最初からではないにせよ、おそらく、気がつくと100作品を上回る作品に対する感想を綴ってきていました。まさか、こんなに続くとは、正直言って自分でも驚いています。

 京都造形芸術大学へ入学したいという志望動機も、実は本番組を視聴しつづけていたのが、きっかけでした。

 おそらく、あと2年ほど放映が続けば、「放映1000回記念」ということに。ぜひそうあってほしいと、強く願っている視聴者の一人です。

 さて、今回の作品は、2018年に入っての放映番組から。南半球・ニュージーランドからの紹介です。

 ニュージーランドの南島、オタゴ半島の一角に位置する、ダニーデンには、最大傾斜角度19度という世界一急な坂道である「ボールドウィン・ストリート」のある街、いわゆる今日で言うところの「インスタ映えする街」「絵になる街」としても有名だそう。

ダニーデンとは、イェール語で「エディンバラ」という意味。

 駅舎内の足元に描かれているのは、イギリス・ミントン製の磁気タイル725,000枚。屋根には、赤いマルセイユタイル、ココンガ産の黒い玄武岩と、オアマル産の石灰岩の白が、壁面タイルとして見事で鮮やかなコントラストを奏でています。

 採光用のドーマー窓、雨の際にも便利な馬車ポーチなどなど。どう見ても、まさに駅というより、美術館の趣です。

 特色ある駅舎は、時には顔を変えて、いろいろと魅力的な用途にも使われています。

 例えば480メートルの長いプラットフォームを利用して、毎年3月に盛大で華麗なトレンド・ファッションショーが開催され、そこのスペースは、華やかなモデルさんたちが闊歩するランウェイに様変わり。

 さらに毎週土曜日には、オタゴ・ファーマーズ・マーケットとして、地元市民に愛される市場としても使用されています。

 駅舎は今でも現役であり、「市民に愛されつづけ、親しまれるランドマークの建物として、じっと宝石のように輝いている・・・」

(番組を視聴しての私の感想綴り)

 ダニーデン駅の存在は、この番組を視聴して初めて知った。これまでに、ニュージーランドには2回行ったことがありますが。1回は仕事で、2回目は旅行で渡航しています。

 いずれも、クライストチャーチ、クイーンズタウン、ウェリントンなどには立ち寄りましたが、ダニーデンには立ち寄らなかったことが、今となっては悔やまれます。

 一番印象に残ったのは、この駅舎の使われ方に見るように、ニュージーランド市民の真に豊かな生活感覚と、ナチュラルティストな肌感覚が、建物というハード面と、市民の文化的生活というソフト面において、自然に溶け合い、融合している姿です。

 そして、いまでは市民の間で、いわば「ハレとケ」を抱き合わせて、生活に溶け込む貴重な財産(遺産)」として愛されつづけ、利用され続けている点です。

 日本国内にも、こんな素敵で、真に優雅で、生活に溶け込めるような駅舎が、数多く存在してほしいと夢見た、視聴後のひとときでした・・・

写真:  「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2018.2.10>より転載。同視聴者センターより許諾済。

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

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