「特別な朱色」(本朱)で彩られた1300年の美「春日大社」(奈良時代初頭) 世界遺産

(「美の巨人たち」番組放映<2016.8.20>で紹介された主なコメント)

 「あをによし 寧楽(なら)の京師(みやこ)は 咲く花の 薫うがごとく 今 盛りなり」

    万葉集(小野老朝臣)より

    1300年の歳月を経ても、変わらぬ「美」。神々が宿る「朱」、連子窓の「緑」とのコントラストが鮮やかである。敷地は約32万坪というから驚きの広さ。

   本殿は、国宝として1956年指定。「唯一無二の造形」とされる。世界の先進国を見ても、都市の中に原生林があるのは、春日大社に連なる御蓋山(みかさやま)のみ。

   「常若」(とこわか)という考えのもと、「式年造替」として、20年に一度本殿ほかの建物の「朱色」を新たに塗り替えることで、「常に若々しく強い力を発揮する」との意義が込められているという。

(番組を視聴しての私の感想コメント)

    「朱色」という色に興味を抱いた。朱は「穢れを払う色」とも言われている。

平家由来の神社の鳥居は、朱色である。厳島(いつくしま)神社は、平家の拠点。平家(もしくは桓武天皇)が権力を持つ以前の神社、例えば出雲大社などは朱色ではない。

   源氏系の神社も朱色ではない。源氏系は白木か石の鳥居ばかり。桓武系ではない皇族の神宮もほとんどが白木造りである。(伊勢神宮や明治神宮)

 春日大社を彩っている色こそ、朱色の中でも、特別な朱色。つまり、「本朱」(ほんしゅ)という色。一般の神社で使用されているのは、「朱色」でも主に「鉛丹」が使用されている。比較してみると、やはり鮮やかさという点で、「本朱」の色が抜きん出ている。

    日本人に馴染む色なのか、本当に美しいと感じる、落ち着いた重みのある色である。

写真: 「美の巨人たち」(2016.8.20放映)より引用。テレビ東京・視聴者センターより引用許諾済。

美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

本ブログは、「美の巨人たち」(テレビ東京 毎週土曜 22:00〜22:30) 放映番組で取り上げられた作品から、視聴後に私の感想コメントを綴り、ここに掲載しているものです。 (2020年4月放映より、番組タイトル名は「新・美の巨人たち」に変更)   ブログ管理者 京都芸術大学 芸術教養学科 2018年卒 学芸員課程 2020年修了 瀬田 敏幸 (せた としゆき)

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